鳥取市は、全国でも指折りのカレー好きの街だ。一世帯あたりのカレールーの購入(総務省家計調査2017~19年平均)は、金額が年間1856円(全国平均1427円)、量も同1821グラム(同1424グラム)と全国一。そんなカレー王国・鳥取を盛り上げるのが「株式会社鳥取カレー研究所」(鳥取市新)。社長の池本百代さん(64)は、おいしくて体にも安心な商品を次々に生みだし、カレーを軸に人と人とのつながりを広げている。
池本さんは2003年、鳥取商工会議所青年部の仲間と、カレーに注目した観光マップをつくった。「もっと何かできそう」と05年に市民団体「鳥取カレー倶楽部(くらぶ)」を立ち上げ、情報を発信しイベントを開催。09年には、オリジナルのカレールーを販売するために、会社をつくって代表になった。完成した「鳥取カレーの素」は二十世紀梨や松葉ガニなど鳥取県産の食材をたっぷり盛り込み、「安心して使いたいから」と化学調味料は入れなかった。
そのルーを元に、スーパーやコンビニと一緒にカレーパンやカレーおにぎりを開発したり、カレーピラフやパスタなどのキットを売り出したりした。
今年1月には城下町とっとり交流館「高砂屋」(同市元大工町)とコラボし、スパイス食堂「ブーケガルニ」をオープンさせた。地元の素材を使い、7種類のトッピングを好みで混ぜながら、味を変えて食べ進める楽しいカレーが好評だ。
米は鳥取県農業試験場に開発してもらったカレー専用の香ばしい品種「プリンセスかおり」をブレンド。食器は、地元の若手陶芸家に依頼したオリジナル品を使っている。手掛けた商品は数多く、「人との出会いで生まれることがほとんど。他にないもの、そしていいものを心がけています」と池本さん。
最新作のレトルトカレーには県産のムカゴや、丸ごとのどんこ椎茸を入れた。レトルトも、食堂のカレーも、県在住の料理研究家カノウユミコさんが監修。体に優しいルーにカノウさんが賛同し、とんとん拍子で新商品が出来上がった。
「誰と話しても、カレーの話は盛り上がるんです。だって、みんな食べてるでしょ?」と池本さん。
アイデア豊かに、新しいカレーの世界を提案してくれる。
鳥取カレー研究所ホームページ http://tottoricurry.jp/
同フェイスブック https://www.facebook.com/tottoricurrylaboratory/