ソ連という消滅国家がウクライナに残した最大約5千発の核兵器。一時、世界第3位の核保有国となった同国が全ての核を手放すに当たっては、米ロとの間で紆余(うよ)曲折の交渉が繰り広げられた。同時に、核を外交カードにして西側から「安全の保証」や経済支援を獲得すべきだとする論調も国内で湧き起こった。

 核大国のロシアが、核を放棄したウクライナを侵略してから1年半。同国出身の核専門家で、母国と核の現代史を究明する歴史家マリアナ・ブジェリンへの...