出雲市が11日、ドメスティックバイオレンス(DV)被害者の現住所が記された戸籍付票の写しを、誤って加害者に交付したと発表した。被害者は、第三者に交付しないよう支援措置を申請していた。担当課内で情報共有できていなかったのがミスの原因。被害者は引っ越しなどの対応を迫られ、市は損害賠償として200万円を払う方針。誤交付後、加害者による被害は生じていないという。
市によると、被害者は市外の自治体に支援措置を申請。2月25日、本籍地の同市は、この自治体から、被害者の戸籍付票の写しを第三者に交付しないよう連絡を受けた。対応した市民課の支援措置担当者は、課内の戸籍付票担当者に伝える必要があったが、していなかった。失念していたという。同課は3月8日、加害者から戸籍付票の写しの交付申請を受け、同11日に郵送で交付した。
市外自治体が、被害者から自宅に加害者が訪れた形跡があるとの相談を受けて同22日、市に連絡しミスが発覚した。市はこの自治体に被害者の安全確保の協力を要請。被害者は、ホテルに緊急避難し、5月上旬には別の住居に引っ越した。
この日、会見した市健康福祉部の岡真悟部長は「行政の信頼を著しく失うこととなり、市民をはじめ多くの人におわび申し上げる」と陳謝した。市は、対応マニュアルを改訂するなど再発防止策を講じ、最初に対応した支援措置担当職員を戒告とするなど5月27日付で関係職員の処分をした。
(月森かな子)