「駄じゃれ好き」として鳥取県の平井伸治知事が有名になったのは11年前だった。コーヒーチェーン大手のスターバックスが松江市への出店を発表したのを受け、47都道府県で唯一の空白地となる鳥取県のトップに見解を聞きたいと、東京のテレビ局から取材依頼を受けた▼さすがに秘書は渋ったが「こちらも準備し、むしろ鳥取を売り込もう」と考えた平井知事。「スタバはないけど日本一のスナバ(砂場)はある」という自虐を交えたユーモアあふれるお国自慢はこの時誕生した。他にもいくつか用意していたが全てボツになったと、その後の講演会で披露していた▼同じユーモアでも、こちらは後味が悪い。「メインディッシュがいいステーキだと思って開けたら、じゃこ天です。貧乏くさい」。秋田県の佐竹敬久知事が先日、地元での講演で、過去に全国知事会で訪れた四国地方で食べた料理や飲んだ酒をけなしたことが問題視された▼「秋田ほどうまいものがある所はない」と強調したかったようだが、勇み足。「会場を盛り上げようという思いもあったが、悪い例えだった」と謝罪に追われた▼「この機会にたくさんの人が来て、食やお酒を確かめていただくチャンスをいただいた」と高知県の浜田省司知事が話すように、四国4県は大人の対応だ。他をさげすんでまで殊更自慢されても鼻につく。お国自慢は自虐や駄じゃれくらいがちょうどいい。(健)












