「来た来た」の声で、かすみがかった空を見上げると、鳥だった。「あれだ」。今度は自衛隊機。10分後、定刻からやや遅れ、ライトをともした白い機体が、ついに姿を現した▼米子空港の屋上で取材記者やテレビカメラだけでなく何人もの「ファン」が到着を待った。この間のわくわく感を、誰かがこう表現した。「航空ショーだね」▼米子とソウルを結ぶエアソウルの国際定期航空便が25日、2019年10月以来、4年ぶりに運航を再開した。運休の発端は、日韓関係の悪化による利用者の減少だったが、その後の新型コロナウイルスの感染拡大で長期化。運航再開で出発便のチェックインの長い列ができ、到着便の搭乗客の歓迎で沸いたロビーの空気は、待ちに待った分、熱気を帯びた▼だが、取材を進めて分かったのは、関係者のこの路線に対する強い思いの源に「空白」の長さよりむしろ、01年4月の就航から約20年重ねてきた歴史と両国の交流があるということだった。歴史的な一日を「見届けよう」とやって来た人に、何人も会った▼夜の歓迎会で鳥取県の「国際航空大使」に任命されたエアソウルの趙(チョ)鎭滿(ジンマン)代表理事は「今まで以上に頑張る」と力強かった。週3往復の運航再開は、次の目標を運休前の週6往復とすれば道半ば。アウトバウンド(日本人客)の利用向上など課題もあるが、歴史がつながった喜びを推進力に変えて飛んでいく。(吉)