当初から自民党の劣勢が伝えられていた22日の参院徳島・高知選挙区の補欠選挙。同じ合区選挙区を抱える山陰両県の自民党国会議員に結果の受け止めを聞くと、合区選挙で初めて野党系に議席を奪われたことより低投票率への衝撃の方が大きかった▼石破茂氏(衆院鳥取1区)は「あの投票率は異常。合区や参院選挙の在り方が問われる」と指摘。青木一彦氏(参院鳥取・島根選挙区)は「(選挙区の面積が)広すぎる。選挙をやっているかどうか分からなかった」と嘆いた。2人とも自民候補の応援に入っており、冷めた空気を感じていた▼投票率は2022年の前回選を14・37ポイント下回る32・16%。候補者2人の地盤ではない徳島県は23・92%。いずれも過去最低の数字が並んだ▼折しも、22年参院選での「1票の格差」を合憲とした18日の最高裁判決では、合区導入後の選挙への関心など問題点に初めて具体的に言及した。国会では合区解消を含めた選挙制度改革の議論が本格化する。ただ各党の主張は隔たりが大きく、議論の場となる参院改革協議会の選挙制度に関する専門委員会では、25年次期選挙までに改革案をまとめるかどうかさえ決まっていない▼期待するのは今回の補選を受け、合区解消の声が自民党以外に広がること。立憲民主党の参院幹部は補選で当選した広田一氏が専門委の委員に入ることを模索する。一致点を見いだす努力が必要だ。(吏)