西本願寺で行われた年末恒例の「すす払い」=2024年12月20日、京都市下京区
西本願寺で行われた年末恒例の「すす払い」=2024年12月20日、京都市下京区

 作家の町田康さんが、散らかった部屋を片付ける苦悩と顛末(てんまつ)を新聞連載のエッセーに書いていた。取りあえず、買ったばかりで結局一度も着ていない悪趣味で安っぽい衣服を廃棄することに。しかしながら<捨てるということは、そのそれを買った自分の過去の過ちを認め、それに費やした費用を心の家計簿に損失として計上することに他ならない>と煩悶(はんもん)する。

 そうこうするうちに、家の中に堆積している物品の9割は“失敗物”であることが判明し、そこからは勢いづいて<今現在、使用している物にさえ、難癖をつけ><捨てる物を探してケタケタ笑いながら歩き回る>と。捨てる快感もここまでくると恐ろしい。

 一昔前に「断捨離ブーム」があった。最近よく耳にする「捨て活」は物を捨てる、手放すことに重きを置かず、残す物を選ぶ作業のことを言うのだそう。捨てなければ良かった…という後悔は、捉え方一つで片付けをしたからこそ分かる本当に大切な物の気付きになるのだとか。これだと心の家計簿に収入換算できる。

 年の瀬が迫り、部屋も心もすっきりさせたい気分の方は多いに違いない。きょうは、新年を迎える準備を始めるのに縁起が良い「正月事始め」。「大掃除の日」でもある。ちょうど週末で、どうやら天気は崩れそう。

 いっそのこと家にこもり、一年を振り返りながら片付けて捨てる…いや大切な物選びをしてみてはいかが。(史)