江戸から明治にかけ北前船の寄港地として栄えた出雲市大社町鷺浦で、かつて船宿だった古民家を改修した宿泊施設が14日、オープンした。梁(はり)などが残る室内には地元作家の生け花や家具も配置し、都会地やインバウンド(訪日客)を狙い、滞在型の宿として売り出す。
宿は「RITA出雲 鷺浦」で、古民家再生や街づくりを手がける「つぎと出雲」(小田切俊彦社長)が運営。別の事業者が今春まで「NIPPONIA(ニッポニア) 出雲鷺浦漁師町」として運営していた宿泊施設を1千万円かけて改修した。
施設は母屋1棟と離れ2棟で、2~6人用の4部屋がある。築150年以上の母屋は2部屋あり、片方は部屋から日本海を眺めることができ、テラスもある。かつての船宿で築100年以上とみられる離れは、2階建てと3階建てがあり、どちらも一棟貸しする。3部屋には自炊用のキッチンもついている。
室内には、地元住民が手がけた生け花や机を配置。階段状のタンスなど古い家具が残る部屋もある。ライトは、かつて漁に使われたガラス製のうきで覆い、港町の歴史も伝えている。宿泊料金は1泊朝食付きで1人2万1521円(2人利用時)から。漁船クルージングや塩炊きなどの体験プログラムも用意している。
年間の売り上げは3千万円を目指す。小田切社長は「地域の人との交流が生まれる場所にしたい」と話した。
(佐野卓矢)