サンラポーむらくも(松江市殿町)の総料理長に今年4月、東京都出身の照沼英則さん(64)が就いた。ホテル日航東京(現ヒルトン東京お台場)、ホテル一畑(松江市千鳥町)で総料理長を務め、東京で勤務した後、再び島根に戻ってきた。島根に対する思いを聞いた。
(報道部・林李奈)
島根との出会い
島根との縁は2003年にさかのぼる。当時の澄田信義島根県知事に出会い「商品開発で島根のブランド力を高めてほしい」と依頼されたのがきっかけだ。県が設立したしまねブランド推進室のコーディネーターに同年就任し、島根の海や山の幸を生かした20種類以上の商品開発を手がけた。功績が広まり、ホテル一畑のオファーを受け、2008年に島根に拠点を移した。

一度戻るも、再び島根へ
それから10年。「照沼さんに任せたい仕事がある」と旧知の知人から打診された。
東京五輪だった。島根を離れるのに抵抗があったが、大きな仕事に挑戦したいとの思いがあった。2018年にホテル一畑を辞め、商業施設「スモールワールズ」(東京都)で勤務。ただ、2021年の五輪はコロナ感染対策のため、自分が希望する形で料理を振る舞えなかったという。「仕事の見通しが立たず、毎日が不安だった」と明かす。
五輪が不完全燃焼で終わり、新たな一歩を踏み出そうとしている時だった。...