島根県美郷町で16日朝、雲海が広がり、標高の高い広島県三次市側から、低い美郷町側に雲が滝のように流れ込む自然現象「両国おろし」が見られた。
標高400メートルの三次市側の盆地から、100メートルの美郷町側に霧を伴った冷たい空気が流れ込んだときに発生する。備後国と石見国の境で生じる現象にちなんで町が2022年に命名し、観光資源としてPRしている。
山陰両県はこの日、29観測点のうち、10地点で今季最低を記録した。最低気温は出雲4・0度、瑞穂(島根県邑南町)0・1度などで、各地で11月下旬から12月中旬並みの冷え込みとなった。
美郷町上野の田之原展望台では日の出を迎えると、朝日に照らされてオレンジ色に輝く雲が山裾を流れ下った。地元の都賀公民館の呼びかけで集まった雲海観察会の参加者らが、幻想的な光景を写真に収めた。
町は、雲海の発生確率を示す「雲海予報」をホームページで公開している。(佐伯学)