2011年秋、米大リーグでイチロー(マリナーズなど)が10年間続けてきたシーズン200安打が途切れた。スポーツ紙のイチロー番記者だった浮田圭一郎(46)は苦悩していた。応援したいのに、自らの記事でそれを表現することができない。このままでは「憧れを超えた存在」をおとしめることにならないか。

 かつては自身も大リーガーを目指し、夢破れた。新たな挑戦の場に選んだ記者の仕事も、終わりを告げようとしていた。

▽洗礼

 屈強な選手の鋭い打球が、瞬く間にスタンドに突き刺...