みずほ銀行で相次いだシステム障害に関する第三者委員会の調査報告書が公表され、原因は危機対応の組織力の弱さなどにあり、その根底には体質や企業風土があると結論付けた。これを受けて親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)は、坂井辰史社長ら計11人の役員報酬を50~10%削減する社内処分と、再発防止策を発表した。

 預金の預け払いをはじめ送金や決済は銀行が果たす基本的な機能であり、社会の基盤となっている。今回の障害続発はその基盤を脅かす事態だった。報告書は再三トラブルを重ねてきたみずほの改まらない体質を厳しく指摘しており、あきれるばかりだ。

 みずほは社会を支える企業としての自覚があったのだろうか。会社を一から立て直す覚悟で再発防止に臨むべきだ。

 みずほ銀のシステム障害は、2月28日から3月12日にかけて4回にわたって起きた。

 1回目が最も大規模で、全国で稼働中の現金自動預払機(ATM)の8割が停止し5千件超のキャッシュカードや通帳が内部にのみ込まれ、取り出せない状態となった。障害そのものに加え、顧客対応の遅れも問題視された。

 2、3回目はATMに不具合が生じ、4回目は機器の故障で外貨建て送金が遅れた。

 外部の有識者らからなる第三者委員会は障害の原因について、システム自体に欠陥はないとし(1)危機対応の組織力の弱さ(2)システム統制力の弱さ(3)顧客目線の弱さ―を指摘。その上で「根底にはこれらが容易には改善されない体質ないし企業風土がある」と断じた。

 一方で報告書は、新システムへの移行作業に伴い2018年6月、カード・通帳約1800件をのみ込むなどの障害が発生していたことを明らかにした。みずほは公表していなかった。

 これらの記述からうかがえるのは、当事者意識や責任感の希薄さに覆われた社内の空気である。

 報告書はさらに「情報を適切に把握するための連携が機能」しなかった上、「経営陣への報告が遅く、組織としての危機対応力の弱さが顕著に表れた」とも分析した。

 坂井FG社長と、みずほ銀の藤原弘治頭取は報告書に合わせた記者会見で、午前中から発生していた1回目の障害をいつ知ったかとの質問に、「個人的な事情で午後4時ごろ」(坂井氏)、「午後1時半ごろにインターネットニュースで知った」(藤原氏)と答えた。

 この経営トップの感度の鈍さは深刻だ。キャッシュカードなどが取り出せなくなり立ち往生した顧客は、憤まんを新たにすることだろう。危機に際した企業対応の在り方、そしてトップの姿勢の大切さを今回の問題はわれわれに教えてくれる。

 再発防止策として、みずほはシステム要員の増員をはじめ、経営陣と現場の距離を縮めるための役職廃止などを進める。その実効性が肝心だ。

 みずほ銀は、再編発足時の02年4月と東日本大震災直後の11年3月に深刻なシステム障害を起こし、いずれも金融庁が行政処分である業務改善命令を発出。同庁は今回も近く同命令を出す方針だ。金融庁の監督の有効性が問われよう。

 そしてみずほは、報酬削減にとどまらず、行政処分に合わせてトップらの経営責任を改めて明確にすべきである。