選果場のラインが高速で動く中、素早い手さばきで次々に流れてくる柿を仕分ける。手元の時計で計ると10秒で12個。ラインの最後尾にどっしりと構え、前のメンバーがさばき切れなかった柿が山のように押し寄せても後ろには残さない。

 10~12月は、出雲市平田地域の特産品「ひらたの柿」出荷の最盛期。西条、伊豆、富有などの品種が栽培され、毎年600トン程度が全国に出荷される。地域の柿が集まるJAしまね平田柿選果場(出雲市上岡田町)でせわしなく働く人々の中でひときわ目を引くのが郷原文子さん(72)だ。1994年に選果場で働き始め、この道30年。...