メタルの速弾きギター奏者イングヴェイ・マルムスティーンを聴くなら、歌のないインストゥルメンタル曲がお勧めだ。例えば「トリロジー・スーツ・オーパス5」(1986年のアルバム「トリロジー」に収録)。流れるような高速アルペジオの連発で始まり、キーボードの速弾きとの掛け合いも見せる。
クラシックを取り込んだ曲作りも持ち味。曲想はやや単調だが「速弾き」かつ「ロックとクラシックの融合」という特徴がよく表れていて好きな曲が「バロック・アンド・ロール」(2002年のアルバム「アタック!」に収録)。途中、往年の人気ゲームソフト「ドラゴンクエスト1」のラダトーム城のBGMにそっくりのフレーズが流れ、懐かしくなる。バッハの曲らしい。ドラクエシリーズのBGMはバロック音楽だと聞くが、こういうことかと納得した。
豊かな曲想は速弾きを強調せず適度に緩急を付けた曲で見せる。異色作「ブルー」(1999年のアルバム「アルケミー」に収録)はイングヴェイ流のブルースで、情感たっぷりだ。
つくづく思う。インスト曲が中心のジャズ・フュージョンの世界に来れば面白いのに、と。来ないにしても共演したら、新たな境地が開けるかもしれない。
(志)













