専用のゴーグルとモニターに映し出される仮想ブドウ園
専用のゴーグルとモニターに映し出される仮想ブドウ園

 島根県トップブランドの「島根ぶどう」の栽培技術を、VR(仮想現実)技術を活用して新規就農者に伝授しようと、JAしまね出雲地区本部などが「仮想ブドウ園」で摘粒作業を疑似体験できるシステムを開発し、5月末から6月上旬にかけて体験会を開いた。3回の会に就農5年以内の農家計9人が参加し、先端技術を通して熟練の技を習得した。

 システムでは、専用のゴーグルに映し出された仮想ブドウ園で、両手に持ったコントローラーではさみを動かし、粒同士の間隔を空けて成長を促すため不必要な粒を間引く摘粒作業を体験できる。完成した房の形を実証農家の実践例と比較することでこつをつかめると期待される。

 実地で行うブドウの栽培技術の指導は春や夏の一時期に限られ、摘粒作業に慣れるには早くても3~4年はかかるとされる。これに対し、VRでの学習は時期や場所を選ばず、多人数の講習も可能だ。

 同JAや出雲市、島根県などが共同開発し、国のスマート農業実証事業に採択され、20年度から2年間実証に取り組んでいる。21年産で新規ブドウ就農者の秀品率3割向上を目指している。

 6月4日の体験会では、参加した生産者3人がぎこちなくコントローラーを動かしながら、慎重に粒を間引いた。就農4年目で、出雲市浜町や松寄下町でシャインマスカット計34アールを栽培する吉井奈穗子さん(45)は「VRに慣れる必要があるが、新しく始める人や繁忙期に頼むアルバイトの人にとって作業を覚えるにはいい」と話した。