真っ白な壁と床、一角にはゆったり過ごせるソファセットが配されている。家族だんらんのためのリビングルームのようだが、ここは貸葬儀場「想送庵カノン」(東京都葛飾区)の一室。遺体安置所も兼ねたこの施設を運営する、三村麻子(59)が構想した部屋だ。

 遺族はこの明るい空間で、旅立つ人とかけがえのない時間を過ごす。イメージしたのは「亡くなった娘と最後に過ごすのにふさわしい場所」。長女香夏子は、がんのため2016年に15歳で他界した。カノンがオープンする3年前のことだ...