島根原発30キロ圏の自治体
島根原発30キロ圏の自治体
原子力規制委員会が審査書案を了承し、事実上の合格となった中国電力島根原発2号機(左)。右は1号機=松江市鹿島町片句
原子力規制委員会が審査書案を了承し、事実上の合格となった中国電力島根原発2号機(左)。右は1号機=松江市鹿島町片句
島根原発30キロ圏の自治体 原子力規制委員会が審査書案を了承し、事実上の合格となった中国電力島根原発2号機(左)。右は1号機=松江市鹿島町片句

 原子力規制委員会が23日の定例会合で、中国電力島根原発2号機(松江市鹿島町片句)の再稼働に必要な安全対策をまとめた審査書案を了承し、県庁所在地に立地する全国唯一の原発が7年半に及ぶ審査を経て事実上合格した。今後、意見公募(パブリックコメント)などを経て、最短で9月上旬に正式合格となる。

 中電は2021年度内の安全対策工事の完了を見込み、25年度までの再稼働を目指すが、工事計画の認可や地元自治体の同意を得る手続きが控えており、明確な時期は見通せない。

 東京電力福島第1原発事故を受けて施行された原発の新規制基準に基づく審査は、中電が13年12月に申請。敷地に近い宍道断層の長さの評価に時間がかかり、耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の議論が長引いた。審査期間はこれまでに合格した原発で最長となり、審査会合は184回に上った。

 定例会合後、記者会見した更田豊志委員長は「重大事故対策などに十分な時間をかけて厳正な審査をした」と説明。24日から30日間の意見公募を行い、結果のとりまとめに1カ月半~2カ月を要する見通し。

 中電はその後、安全協定に基づいて立地自治体の松江市と島根県から再稼働の事前了解(地元同意)を得る手続きに入る。23日に取材に応じた松江市の上定昭仁市長と、記者会見した島根県の丸山達也知事はともに再稼働の是非は明らかにしなかった。

 一方、周辺自治体の出雲、安来、雲南、米子、境港の5市と鳥取県には再稼働の可否を判断する権限が与えられておらず、立地自治体並みの安全協定に改定を求める声に中電が応じるかどうかが焦点となる。原発30キロ圏の人口は全国で3番目に多い約46万人で、事故時の「広域避難計画」の実効性の確保といった課題も残る。

 審査の過程で中電は、基準地震動を820ガルと設定。最大で海抜11・6メートルの津波が敷地に到達するとして、海抜15メートルの防波壁を建設した。火山対策では南西55キロにある三瓶山(大田市)の噴火で最大56センチの火山灰が降り積もるとした。正式合格すれば全国10原発17基目。福島第1原発と同じ「沸騰水型」としては4原発5基目となる。

 廃炉作業中の1号機、建設中の3号機と合わせた安全対策費は申請時の1千億円超から6千億円程度に大幅に膨らんだ。審査書案の了承を受け、中電島根原子力本部広報部の渡部公一部長は「安全性のさらなる向上を目指し、取り組みを地域の皆さまへ分かりやすく丁寧にお知らせする」とのコメントを出した。

 

▼島根原発 日本海に面した島根半島に立地する中国電力の原発で、東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉。1号機(46万キロワット、廃炉作業中)は1974年に、2号機(82万キロワット)は89年に営業運転を始めた。改良型沸騰水型の3号機(137万3千キロワット)は建設が最終盤で、新規稼働に向けた原子力規制委員会の審査を受けている。