経営再建中の一畑電気鉄道(松江市中原町、足達明彦社長)が24日、松江市内で株主総会を開き、任期満了に伴う役員改選で大谷厚郎代表取締役会長(70)の退任を承認した。役員数を削減する構造改革の一環。2021年3月期の連結決算は、純損益が29億1700万円の赤字(前期は5億4100万円の赤字)だった。赤字は3期連続。
退任する大谷会長は相談役となる。子会社の会長からも退く。1980年に入社し、創業から経営に関わった大谷家の3代目として99年に社長に就任。2014年から会長を務めた。
取締役は他に苅田満夫氏(66)=一畑電車社長=が任期途中で辞任し、2人減の7人とする。
子会社の社長は15社中6社で交代する。苅田氏を含め4人が退任し、子会社間の社長兼務を増やす。
21年3月期決算は、売上高が前期比33・7%減の131億6500万円だった。百貨店や観光、運輸など幅広い事業で新型コロナウイルスの打撃を受けたほか、ホテル一畑の新館建設に伴う休館も響いた。
経常損益は23億円の赤字(前期は8億5400万円の赤字)。ホテル一畑の旧本館解体による固定資産除却損10億3700万円を特別損失として計上し、最終損失が膨らんだ。
財務健全化のため、10月1日の予定で資本金を7億8千万円から1億円に減資することを決めた。一畑電鉄はグループの経営再建で、金融機関からの資金調達や希望退職による人員削減も実施している。 (部田寛孝)
子会社の新任、退任の社長は次の通り。25日付。
<新任>一畑電車 福富茂人▽一畑バス、一畑トラベルサービス 吉田伸司▽平田自動車教習所 岸哲夫▽一畑パーク 松下敦史▽カーテックス一畑 石原浩
<退任>苅田満夫(一畑電車)▽森山輝也(一畑トラベルサービス)▽竹田真澄(一畑パーク)▽錦織和雄(カーテックス一畑)大谷厚郎氏