第六章 来去来(四十三)

 親分の話を、寅蔵は唇を引き結んで聞く。

「町は相当に荒れ、夜道を迂(う)闊(かつ)に歩けぬほどであったという。さような最中に、東町奉行が兵庫の商人と謀(はか)り、...