さりげなく季節を表す近代日本画を集めた春季特別展「季節のアイテム」が安来市古川町の足立美術館で始まった。時季の花を添えた作品はもちろん、服装や小物で表す作品もあり、読み解くのが面白い。5月31日まで。
作品33点が並ぶ中、特に凝った表現があるのが伊藤小坡(しょうは)の美人画「一聲(いっせい)」。本を手にした女性が空を見上げる構図で、よく見ると本は夏を表すホトトギスにちなむ歌が多い「古今和歌集」。ホトトギスの鳴き声がして、ふと見上げた場面かと想像が膨らむという。
上村松園の美人画「待月」は女性が欄干に寄りかかり、月の出を待つ姿を描いた。着物の下のじゅばんが透けて見え、薄手の着物をまとう夏だと分かる。
横山大観の「鼬(いたち)」は湿地に生え、秋に刈り取る草のトクサで季節を表した。墨がよくにじむ麻の紙に描き、湿地の湿り気を表現した工夫も目を引く。
開館は午前9時~午後5時(4月以降は午後5時半まで)。年中無休。入館料は大人2300円、大学生1800円、高校生千円、小中学生500円。
(桝井映志)