東日本大震災の発生から11日で13年を迎える。人口減少が進む中で東北を襲った巨大地震と東京電力福島第1原発事故は、人々の暮らしをどう変えたのか。記者が現地を訪れ、被災地のいまを見た。​
(報道部・森みずき)

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被災地のいま 東日本大震災13年(上) 原発 廃炉の出口見えず 戻らぬ住民と生活基盤

 2月末、福島県いわき市の小名浜漁港。さらわれそうなほどの冷たい風が吹き荒れ、岸壁にしけで大型の巻き網船や底引き船が停留していた。「早く県外に出たい。そうなれば水揚げはもっと増やせると思う」。半世紀以上、同漁港を拠点に沖合底引き網漁をする志賀金三郎さん(77)が見つめる先には茨城県沖の海があった。

 2011年3月の東日本大震災後の2年7カ月は、海底に沈んだがれきを撤去する日々が続いた。東京電力福島第1原発事故の影響で、漁が再開した直後の水揚げは3種類の魚種に限られた。震災から10年後にようやくほぼ全ての魚種の水揚げが可能になったが、千葉沖や茨城沖まで出て網を引いた震災前の状況に戻っておらず、もどかしさが募る。

震災前の25.2%

 福島県の水揚げ量は、震災前の10年は2万5879トンあった。...