
―今年創業から50周年を迎えました。
土木施設の基礎となる「地盤」を、技術の核として創業しました。
高度な技術が必要で、発注者からの評価が難しい分野ですが、土木施工の安全性や工事費に大きく影響します。
今までは地形や地質、土木施設を2次元の図面から頭の中で3次元化していました。習得するまで時間がかかり、第三者に説明するのも困難でした。
しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入で3Dの可視化が可能になり、経験の少ない人との情報共有や第三者への説明が容易になりました。
DXと経験者からの技術伝承の両方で事業を行っていきます。
―災害が激甚化しています。
能登半島地震の震源は海中の断層でした。
同様の断層は島根県内にも多く存在します。島根の海岸沿いの地質は能登半島と似ており、マグニチュード(M)7クラスの地震が起きた場合、同様の道路崩壊、液状化に伴う家屋被害の発生が予想されます。
幹線道路の斜面や盛土補強対策、被害時の道路付け替え対応など、災害時に道路が寸断されない計画が望まれます。

―子ども向けの防災講座や、著書「ドボク模型」などを通じて防災意識向上に努めています。
土木は道路や水道などのインフラ整備を行っていますが、その意義や仕組みがうまく伝わっていません。
伝え方の一つとして「ドボク模型」を考案しました。弊社の災害ノウハウを「防災学習」を通じて地域貢献しています。
災害の発生理由や前兆現象を知ってもらい、安全に逃げる仕組みをつくっていけたらと思っています。

―今後の会社としての目標を教えてください。
地球環境を守るため、木からプラスチックを作る「リグノフェノール事業」、電気を生み出す「バイオマス発電」などに取り組んでいます。
技術開発は進んでおり、社会実装を目指します。石油社会からの脱却や脱炭素化は社会ニーズに合致し、新たなビジネスチャンスになります。

災害が発生すると、道路が通れなくなり、物流や災害対応に影響が出ます。
土木技術がなければ、私たちの社会は成り立ちません。
藤井基礎設計事務所は、道路やトンネル・橋・港の設計(測量・調査)を行う会社です。
専門的な技術を「楽しみながら学ぶ」ことが大事になります。
一緒に学びながら、社会貢献をしていきましょう。

藤井俊逸=島根県松江市出身(62歳)1985年に入社し、2016年より現職。
土の力学・斜面工学を専門とする技術士で、土木学会・地すべり学会の土砂災害解説委員を務める。2013年にて「模型実験による土木の理解増進」文部科学大臣表彰を受賞し、書籍「模型で分かるドボクの秘密」・「ドボク模型」を執筆。
日頃より地域防災学習や土木の世界を100円ショップの材料で伝える活動を実施しています。
近年は、木からプラスチックを作る事業・バイオマス発電事業などSDGSに力を入れています。