
ー 企業の労務管理など幅広い事業を展開していますね。
契約先企業の人数や規模、形態にもよりますが、総務の代行や求人票作成、パワハラ防止対応のコーディネートに深く携わるなど、関わり方はさまざまです。
企業と社員の不和は、実は企業側の問題や課題が引き起こしている場合もあるため、原因を明らかにすることも重要な役割だと思っています。

ー 心がけていることは何ですか。
私たちは地元の企業を応援する立場にあります。
勤務時間や働く場所の多様化、福利厚生の充実が人材確保につながるなど、労働者の視点に立って考えることが最終的に企業の利益になります。どちらかに肩入れすることがないようバランスをとることを意識しています。
退職の手続きにも力を入れています。退職者の次の生活をイメージしながら迅速に手続きができるよう準備します。事前に退職後の医療保険や年次有給休暇の消化について質問をいただくこともあります。
最後の対応はとても重要です。手続きはただの事務作業だと思わず、社員の人生の一部を預かるという意識で臨んでいます。

ー 企業にとって女性の働き方への対応がより求められています。どのような支援をしていますか。
企業から相談があった際には、妊娠・出産時に受けられる制度について丁寧に説明します。気をつけているのは、制度を押しつけるのではなく相談者の意思を尊重することです。
復帰後に配偶者の扶養に入るなど仕事との関わりを減らそうとする人がいれば、個人の幸せを最優先にしつつも、労使にとって最善となる考え方や制度を提案します。
子育てしている社員の業務をサポートしているほかの社員へのフォローや、女性が〝永く〟活躍できるよう、あらゆる世代や年齢に対応できる職場の実現に向けたアドバイスもしています。
経営者のほとんどが男性の島根県において、同じ女性の立場から、女性の得意を伸ばしていける職場の環境づくりを支援したいと考えています。

取引企業や個人のお客様と接しているとき、労働・雇用、公的年金、保険等の法律や制度のいわゆる“グレーな部分”と向き合うことが多いです。
その際、専門職である自分が解釈・判断して相手に納得してもらえるようにいかに伝えられるのかが大切ですが、そのためには誠実さと伝え方、そして、人としての魅力が重要だと感じています。
社会保険労務士をはじめ、士業にはそうした人間味がとても大切であり、スキルとして伸ばしていける領域だと考えています。
AIやデジタルが社会の当たり前な時代だからこそ、人間味に価値を見出し、魅力ある士業を目指してほしいと思います。

門永真理子=島根県松江市出身。2003年に現職。
家族と過ごす時間を大切にしています。最近では娘の習い事の影響から自分も楽器(サクソフォン)に挑戦するようになりました。また、ゴルフやコミュニティーに参加し、仕事以外の人たちとの交流を増やすなど“人との繋がり”を意識しています。
hana社労士事務所HP