短歌 安部歌子選
久々に飲み屋街ゆく年の暮れ昭和生まれの居場所を探す 浜 田 清水 謙一
【評】久々に訪れた飲み屋街は若者ばかり。昭和生まれの作者の居場所はどこにもない。若い日の自分と居場所のない今の自分が重なり、さまざまな思いが去来する。三句「年の暮れ」に一層寂しさが増す。
夢を見た幼き孫を追ひかけて膝などちつとも痛くなかつた 松 江 土井 郁子
【評】幼い孫を追いかけている作者は若く、膝も痛くない。そんな夢から覚めた作者は現実の世界に引き戻されていく。「夢を見た」の初句が一首の展開に期待感を抱かせ読者を引き...









