境港のにぎわい創出の拠点となる「境夢みなとターミナル」(境港市竹内団地)の供用が始まり、1年が過ぎた。新型コロナウイルスの影響で低調な利用状況となっているが、中海・宍道湖・大山圏域の「海の玄関口」としての役割に期待がかかる。拠点施設を取り巻く課題と活用法を検証する。

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 27日朝のターミナルでは、初のRORO船(車両乗り入れ可能な貨物船)の入港を喜ぶ平井伸治鳥取県知事らによる歓迎セレモニーが開かれていた。

 苫小牧(北海道)と敦賀(福井県)、博多(福岡県)の3港を結ぶ内航船で、運航する近海郵船(東京都)が試験的に寄港。陸路の運転手不足対策や、災害時の代替輸送手段となると見込み、圏域で利用を希望する企業のニーズを調べる。

 境港では原木やコンテナを取り扱う岸壁で貨物船を受け入れてきた中、広く、他の貨物がないターミナルを同社が好感し実現。

 試験輸送を重ねて需要を掘り起こし、定期航路化の可能性を探る構えで、関光太郎社長は「境港が海上輸送の要になることを期待している」とのメッセージを寄せた。

▼全てキャンセル

 貨物を巡って前向きな動きがある半面、旅客は新型コロナの影響で厳しい状況が続く。

 クルーズ客船の寄港は、供用が始まった2020年は予定された42回が全てキャンセル。

 新型コロナ禍での受け入れに対応しようと、境港管理組合は感染防止策を盛り込んだマニュアルを作ったものの、寄港は今年4月に入った国内最大の客船「飛鳥2」の1回にとどまっている。

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