
ー子育てしやすい地域づくりの一助になろうと、小児医療へ力を入れています。その考え方を聞かせてください。
小児医療の充実は本人や家族の安心につながり、人口減少社会でも若い世代の地域への定着が期待できます。
ー 具体的な事例は。
例えば、赤ちゃんの頭の形は就寝時の体勢で変形する「向き癖」になることがありますが、まれに「頭蓋縫合早期癒合症(とうがいほうごうそうきゆごうしょう)」といった病気が原因の場合もあります。この病気は手術が必要で、従来は島根県内では対応できませんでした。2023年に当病院へ専門医が赴任し、遠くへ行かなくても手術が受けられるようになりました。ほかにも、新生児の開胸手術が可能な心臓血管外科は山陰では当院だけです。

ー 肝移植復活の動きが進んでいます。
1989年11月に国内初の生体肝移植手術を実施し、肝移植が広がるきっかけをつくりました。それ以降当院では30年以上にわたって肝移植は行われておらず、患者が肝移植を受ける場合は県外の病院を頼るしかないのが現状です。
大学病院として、よりよい医療を提供するためにこのような医療の「ひずみ」を是正する必要があると考えています。現在、関係部局を集めてワーキンググループを設置し、肝移植再開に向けた体制づくりを進めています。
ー 課題となっている医師の働き方改革と、地域医療の充実をどう両立させていきますか。
ワークライフバランスやチーム医療による業務の分担は重要です。しかし、医師不足や診療科偏在の問題がある中で、県内の医療の質を落とすわけにはいきません。
2023年10月に、県内の病院への医師派遣と労働時間を一元的に管理する「地域医療政策センター」を立ち上げました。医師を派遣している県内唯一の医療機関として、医師の長時間労働の抑制や負担緩和を進めながら、課題となっている医療格差の是正に取り組み、県全体の医療サービスの向上を図っていきます。


人生は長いようで短い。であれば、瞬間瞬間を大事に生きることは重要である。多様性を求められる時代になり、個々の思いは得てして軽視されがち、そのように見えるかもしれない。そうではない。
チームは、個々の力の集積であり、それをうまく統合したものがチーム力であることを忘れてはいけない。”綺麗な言葉”の裏にある不確実性あるいは不都合な事実に惑わされることなく、自身の信念に沿って行動していただきたいと思う。
一志不退、しっかりと目的を見据えて前向きに人生を歩く、それが真の意味での”綺麗な言葉”の具現化である。

椎名浩昭=山口県出身(65歳)2021年4月に現職に就任。
趣味は魚釣りです。1年3カ月、隠岐にいたことがあり、そこで釣りを始めた時、陸から30センチぐらいのタイが2匹釣れました。それから毎日行くほどはまってしまいました。船に乗って沖でよく釣りをしますが、海を見てるととても気持ちがいいですし、たとえ「坊主」であってもわくわくします。
島根大学医学部附属病院HP












