第六章 来去来(七十九)

「叔父(おっ)ちゃん、おおきに。叔母ちゃんもほんまにおおきに」

 寅蔵が頭を下げると、叔母は「ううん」と俯(うつむ)いた。

「あんたのためばかりやない。...