教員免許を持つ従業員(左)に教わりながら児童クラブで勉強に励む女子生徒たち=出雲市塩冶町、わくわく児童クラブ
教員免許を持つ従業員(左)に教わりながら児童クラブで勉強に励む女子生徒たち=出雲市塩冶町、わくわく児童クラブ

 山陰両県の市町村で最も多い約5千人の外国人が暮らす出雲市で、大半を占める日系ブラジル人の子どもの進学を支える学習拠点が増えている。意欲がある子どもの学びを後押しし、定住しやすい環境をつくるのが狙い。個人の熱意による取り組みから、組織的なサポートへと広がりを見せている。 (月森かな子)

 市内の大手製造業で業務を請け負い、そこで働く日系ブラジル人を雇用している「アバンセコーポレーション」(本社・愛知県一宮市)が今春、一般利用もできる放課後児童クラブ「わくわく児童クラブ」(出雲市塩冶町)を開いた。

 小学生を対象とした一般的な機能に加え、教員経験者やポルトガル語ができる従業員が、日系ブラジル人の中学生に授業で分からなかった点を教える場だ。

 現在、市立第二中学校の1、2年の女子生徒2人が平日の放課後や土曜日に通い、テスト勉強や宿題などに取り組んでいる。

 2人とも小学生の時にブラジルから移住し、日本語を習得中。大人数の授業では、細かい単語の意味のほか、どう質問すればいいか分からないことがあるという。高校や大学進学を目指す2年の藤村アユミさん(14)は「何でも聞けて、教えてもらえるので、数学が分かるようになった。もっと勉強ができるよう、日本語を覚えたい」と意欲的だ。

 勉強中はできるだけ通訳なしでやりとりする。必要に応じてポルトガル語を話す従業員が加わり、問題が分からないままにならないよう努める。

 外国人の子どもの学習支援は市教育委員会でも日本語を指導する教員を増やすなどしているが、目が行き届かない部分を補完するのが、市中の学習拠点施設だ。

 市教委によると2007~20年度の日本語指導が必要な生徒の高校進学率は約7割。進学する割合は高まってきているが日本語の習得に加え、学力も必要となるだけに受験の壁はまだ高い。

 同クラブでも学習支援は試験段階で、定員5人で受け入れを始めた。高畑慶治施設長(32)は「進学を考えている子どもが一人でも多く高校に行けるよう支援していきたい」と展望する。

 市内の学習支援拠点は従来、支援団体や大学生によるものがある程度で、企業など組織的なものはなかったといい、市の杉谷学教育長は「こうした学びの場は子どもの夢をかなえて将来的な定住につながる。ありがたく、広がりに期待したい」と話した。