鳥取県日野町などJR伯備線の沿線自治体や住民が、鉄道撮影を趣味とする「撮り鉄」との共存を模索している。歴代カラーリングを復活させた特急やくものリバイバル運行で愛好家が増え、線路近くへの侵入や迷惑駐車が増加。日野町は撮り鉄専用の駐車場を設置する対策に乗り出した。一方、撮り鉄が集まれば活性化が期待できるとして、積極的に受け入れる動きもある。
「悪質な人が目立ってきた」。根雨駅(鳥取県日野町根雨)の和田隆駅長が嘆息する。日野町のJR伯備線黒坂駅-根雨駅間の通称「ネウクロ」区間は、撮影条件が良く全国から愛好家が集まる「聖地」。ただ、昨年から愛好家が増えるにつれて、ごみ放置や路上駐車が相次いでいる。
人気スポットで知られる「根雨カーブ」では、線路近くへの侵入が多発。JR西日本が鉄道警察隊と協力しロープを張ったが、一部の悪質な愛好家が3度にわたりロープを結んだくいを抜いた。見かねたJR西は3月、30メートル区間に金属製のフェンスを整備した。
日野、江府、日南、伯耆の4町を管轄する黒坂署にも迷惑駐車に関する苦情や、交通に支障があるとの相談が寄せられている。
日野町は3月末、愛好家の増加を懸念する住民からの要望を受け、民間の土地を無償で借りて約20台分の無料の駐車場を整備した。...