みんなの身の回りには、見過(みす)ごしがちだけれど、ひみつやなぞがいっぱいひそんでいる! サイエンスコミュニケーターの本田隆行(ほんだたかゆき)さんと一緒(いっしょ)に、科学の目線で読み解(と)いていけば、いつもの風景がちがって見えるかも。カガクのとびらを開くシリーズが始まるよ。
種飛ばすまでへこたれない
「そうほう」に注目
タンポポって、いろいろな種類があるって知ってましたか? キク科の仲間で、北半球を中心に世界に広く分布(ぶんぷ)していますが、中でも日本はタンポポの楽園。種類が豊富(ほうふ)な地域(ちいき)の一つです。
見分け方にはコツがあります。花を下から支(ささ)える緑色の部分「そうほう」を見てみましょう。そうほうの外側が反り返っていたらもともとは日本にいなかった外来種や雑種(ざっしゅ)、花にくっついていたら昔から日本にいる在来(ざいらい)種です。花の色や生えている場所などによっても細かく分かれます。白いタンポポは見たことありますか? あれも在来種です。
小さな花が集まる
もっと近づいてみましょう。たくさんの花びらのつけ根あたりに注目。一枚一枚におしべやめしべもついているのが分かると思います。そう、みんなが普段(ふだん)目にするタンポポの花は、実は小さな花が何十、何百と集まった花束なんです。
こうした小さな花が全て開くまでの数日間、タンポポは朝日とともに開いて、夕日とともに閉(と)じます。小さな花が咲(さ)ききったら、一度しぼんで、花を支(ささ)える茎(くき)も地面近くに倒(たお)れてしまいますが、決して枯(か)れたわけではありません。小さな花の下に、種をじっくり育(はぐく)んでいるからです。
種が成長したら、また茎を空へとのばして、最後に綿毛(わたげ)の帽子(ぼうし)を開きます。種を無事に飛ばすまで、タンポポはへこたれず、がんばり続けるのです。
(本田隆行・サイエンスコミュニケーター)
ほんだ・たかゆき 鳥取県三朝(みささ)町出身で、1982年生まれの「科学とあなたをつなぐ人」。神戸(こうべ)大学大学院時代の専門(せんもん)は地球惑星(わくせい)科学でした。日本科学未来館勤務(きんむ)を経(へ)て国内でもめずらしいプロのサイエンスコミュニケーターとして活動中。
花を支える茎が見分けポイント
道ばたや原っぱで見かける花には、タンポポによく似(に)ているものもあります。大人でも「あー、ちょっと変わったタンポポだね」とかんちがいしてしまいがち。タンポポと、そうでないものの見分け方を紹介(しょうかい)します。
ポイントは、花を支(ささ)える茎(くき)。茎が枝分(えだわ)かれすることなく、一つの花だけを支えていますか? 茎の途中(とちゅう)に葉がついていませんか? この二つに当てはまったら、それはタンポポです。
タンポポに似た草花には、茎が枝(えだ)分かれしている「ブタナ」や、花がたくさんついている「オニタビラコ」、茎の途中に葉がついている「ノゲシ」、茎が地をはっている「オオジシバリ」など、たくさんあります。近所に「タンポポかな?」と思う草花があったら、注意深く見てみましょう。
















