新型コロナウイルス禍で地元志向の高まりが注目される中、来春に島根県内の高校を卒業する生徒の県内就職希望割合が、5月15日時点の調査で78・4%となり、前年同時期から2・6ポイント低下した。昨年度のような感染リスクから県外就職を避ける動きが見られず、地元志向は一時の流れで終わる可能性が出てきた。

 島根労働局が県内高校48校と特別支援学校12校の求職動向を取りまとめる調査で、本年度の1回目。

 卒業予定者は前年度比256人減の6049人。このうち学校やハローワークの紹介を通じて就職を希望する生徒は1153人で、このうち県内就職希望の割合が78・4%(前年同期81・0%)だった。

 地域別で見ると、県西部は県内就職希望が56・0%(188人)となり、5・8ポイント低下した。県東部は0・7ポイント低下の87・6%(716人)で、松江は2・3ポイント上昇の87・8%、出雲は2・2ポイント上昇の93・8%となった。

 昨年度は感染が拡大する県外へ就職することの不安から県内就職に希望を変更した生徒が一定数出て、3月末時点の県内就職希望は全県で3・5ポイント上昇の70・1%に上った。

 本年度の傾向について、労働局職業安定部の吉田邦宏部長は、最終的な進路決定までまだ時間があるとしつつ「卒業までに感染が落ち着いていると想定し、県外就職を希望する生徒がいると考えられる。コロナを理由に進路を決める動きが見られない」と指摘する。

 コロナ禍での地元志向を捉えた就職支援やキャリア教育が求められる中、県教委地域教育推進室の中村和磨室長は「求人要請や地域学習などこれまで通りの取り組みを続けるしかない。生徒本人や保護者の意向があり、特別な対策は取りづらい」と話した。  (藤本ちあき)