嘉戸隆町長(右)の話を聞きながら猪鹿蝶給食を味わう児童たち=島根県美郷町粕渕、邑智小学校
嘉戸隆町長(右)の話を聞きながら猪鹿蝶給食を味わう児童たち=島根県美郷町粕渕、邑智小学校
島根県美郷町内の小中学校に提供された猪鹿蝶給食。手前が揚げた鹿肉
島根県美郷町内の小中学校に提供された猪鹿蝶給食。手前が揚げた鹿肉
嘉戸隆町長(右)の話を聞きながら猪鹿蝶給食を味わう児童たち=島根県美郷町粕渕、邑智小学校
島根県美郷町内の小中学校に提供された猪鹿蝶給食。手前が揚げた鹿肉

 島根県美郷町内で有害駆除された鹿の肉が26日、町内の全4小中学校の給食に初めて提供された。町特産の山くじら(イノシシ肉)と組み合わせた「猪鹿蝶(いのしかちょう)給食」で、児童や生徒が獣害を逆手に取った美郷町ならではの給食を味わった。町は今後も猪鹿蝶給食を提供する。

 美郷町を含む中国山地では鹿が増加しており、2021年度の捕獲数は10年前に比べて約25倍の796頭となった。町内でも21年度31頭、22、23年度が42頭と増えつつある。

 町は駆除した鹿を食用として有効活用しようと「美郷もみじ」のブランド名で売り出しており、町内の子どもにも親しんでもらおうと給食に提供した。鹿肉は鉄分を多く含み、子どもの成長に有用だという。

 献立は油で揚げてマヨネーズやケチャップで作ったソースに絡めた鹿肉や、山くじらを入れたトマトスープ、チョウが集まるヒマワリの油でドレッシングを作ったサラダなど。同町粕渕の邑智小学校5年生の教室では児童18人が嘉戸隆町長から、鹿による林業被害を教わり給食を味わった。中井奏さん(10)は「鹿肉は少し歯応えがあり、味付けもおいしかった」と話した。

(佐伯学)