安来市広瀬町と雲南市大東町を結ぶ県道を車で走っていると、赤と青字の目立つ看板が目に入った。書かれている文言は「嫁来い観音 婿(むこ)来い地蔵」。近くの橋のたもとには何かの像もある。一体、先には何があるのか…。気になって思わずUターンした。
仁多、能義、大原の3郡にまたがる三郡山付近から流れ出る山佐川に沿って小道を進むと「荒神の名水」と書かれた看板と、屋根の下に2体の像が見える。湧水場の両脇には、りんとした表情の「嫁来い観音」が右側に、柔和な笑みをたたえた「婿来い地蔵」が左側に立っていた。

観音と地蔵があるのは安来市広瀬町奥田原地区。設置に尽力し長年、管理を続ける藤原昭夫さん(86)を訪ねた。
約40年前。奥田原地区は若者の定着に悩んでいた。女性が地区内の民家で宿泊し、地区に住む男性と一緒にメロン栽培作業を...