安来市内に主力の安来工場を持つ金属部品製造などのプロテリアル(本社・東京都江東区)が、同社とグループ会社を合わせた国内の従業員約1万2千人のうち、1500人程度を削減する方針であることが17日、分かった。グループの固定費を削減し、収支を改善するのが狙いとみられる。安来市内の工場やグループ会社では少なくとも100人以上の削減を見据えているとみられ、早期退職者の募集が始まっている。
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関係者によると、グループの業績は2023年度まで9期連続で計画割れとなっている。収支改善に向けて間接部門の人件費などの固定費を削減するため、プロテリアルと国内グループ会社で1500人程度の削減が必要だとして、転進支援制度を設けて募集を進めている。
対象者は企画職や管理職などの一定年齢以上の間接部門従事者で、5月末までをめどに希望者を募っている。プロテリアル経営戦略本部コミュニケーション部の担当者は取材に対し、「転進支援制度で早期退職者を募集しているのは事実。詳細については回答を控えたい」とした。
同社によると、グループ会社を含めた国内の従業員数は計1万1779人(2023年3月末時点)。安来市内には従業員数約1800人の安来工場(安来市安来町)のほか、子会社のプロテリアルプレシジョン(同市恵乃島町)、プロテリアル安来製作所(同市飯島町)があり、計約3千人が働く。関係者によると、このうちの100人から300人程度の削減が想定されているとみられる。
島根県によると、安来工場の関連業務を請け負う県内の取引業者は約30社あり、裾野は広い。
安来工場は明治期の1899年に創業し、たたら製品を生産した雲伯鉄鋼合資会社が前身。経営再編などを経て1967年に日立金属安来工場となった。2023年1月に米ベインキャピタルなど3社によるファンド連合の傘下に入る組織再編で、プロテリアル安来工場に社名が変わった。
(今井菜月、多賀芳文)