中川美紀氏
中川美紀氏

 山陰中央新報社の米子境港政経クラブ、島根政経懇話会の定例会が22、23の両日に米子、松江両市であり、ビジネスアナリストの中川美紀氏(48)が「若手人材が採れ、辞めない経営とは」と題し講演した。学生優位の売り手市場が続く中でも、「働きやすさとやりがいのバランスが良く、人を大切にする企業には人が集まり、とどまる」とした。要旨は次の通り。

 最近の就活生の特徴として、大企業安定志向▽ワークライフバランスを重視▽プライベートと仕事は分けたい▽管理職になりたくない▽帰属意識の薄さ-などが挙げられる。

 企業の課題としては、母集団が集まらない▽選考中に内定辞退者が出る▽新卒や中途採用者の3割から5割が3年で離職▽人が定着しない-など、中小企業を中心に人材を採用できず、定着しない厳しい状態にあるという。

 「人が採れ、人が辞めない会社」の共通点は、人材の採用と定着のために徹底的に投資し、従業員の満足度を高めていることがある。他社との人材獲得競争に打ち勝つためには、さまざまなルートを使って就活生に接触し、独自性をアピールすることが大切だ。

 従業員の雇用を維持するには、仲間になってほしいという熱意を伝えられるかが決め手となる。働きやすい環境づくりに加え、チャレンジする人を公正に評価し、報酬とチャンスを与える必要がある。

 中小企業は大企業と比べ、資金力や知名度では負けてしまうが、中小企業には柔軟かつ手厚い対応が可能で独自の強みを出しやすい。採用を外注せずに、時間やお金を使って取り組むことが重要だ。多様な人材の違いを尊重し、生き生きと働ければ、中小企業でも人材は定着する。(井上雅子)