カーラジオもエアコンも切り、車の窓を開けた。空気の良さ、自然の音を感じたかった。5月中旬の益田市匹見町。国道191号から平均標高500メートルの道川地区に入ると、やがてランドマークとなる道の駅「匹見峡」と、かやぶき屋根の「美濃地屋敷」が見えた。

 町中心部までは約13キロ。急峻(きゅうしゅん)な中国山地が迫る幹線道路は、「清流日本一」の高津川に注ぐ匹見川に沿う。縫うように広がる田んぼは水が張られ、苗植えがほぼ終わったようだった。

 2009...