雨で水位が上がり、濁流が氾濫する稲佐川=出雲市大社町杵築北、7日午前6時11分
雨で水位が上がり、濁流が氾濫する稲佐川=出雲市大社町杵築北、7日午前6時11分

 活発化した梅雨前線の影響で7日朝、島根県東部から鳥取県中部にかけて、積乱雲が連続発生する「線状降水帯」が形成され、激しい雨が断続的に降った。松江市は市内の意宇川が氾濫する恐れがあるとして八雲町日吉に、5段階の警戒レベルで最も高い「緊急安全確保」を初めて発令した。人的被害は確認されていないものの、各地で土砂崩れや浸水被害が発生し、山陰両県計8市町村で一時、計33万人に避難指示が出た。

 鳥取市も午後に市内の清水川があふれたとして、吉成南町1、2丁目に「緊急安全確保」を発令した。
 松江地方気象台によると、出雲市斐川で7日午前4時45分までの1時間雨量が観測史上最大の75ミリを記録した。午前10時20分時点の24時間雨量は、倉吉市倉吉167・5ミリ▽大山町塩津164・0ミリ▽出雲市斐川161・5ミリーなど。
 大雨で各地の河川の水量が増し、意宇川では午前6時50分に氾濫危険水域に達した。
 両県によると、島根県では出雲市で床上浸水が1棟、床下浸水が3棟あったほか、松江市乃白町で土砂崩れが発生した。鳥取県では倉吉市と南部町で計2棟に浸水被害があった。
 JR西日本米子支社は山陰線の東浜(鳥取県岩美町)ー浜田駅間と木次線の全線で運転を見合わせ、一畑電車は線路冠水などのため、8日までの運休を決定。全線で再開の見通しが立っていない。両県の県立高校や小、中学校など計189校が臨時休校した。

 松江、鳥取両市に発令された「緊急安全確保」は今年5月の災害対策基本法の改正に伴って運用を開始。今月3日に住宅の浸水や土砂災害が発生した神奈川県平塚市や静岡県熱海市に次ぐ発令で、八雲町日吉は755世帯1884人、吉成南町1、2丁目は697世帯1529人が対象となった。

 松江地方気象台は8日から10日にかけても雨が降り続くため、警戒が必要としている。