堀田仁助の功績を語る神英雄会長=益田市元町、市民学習センター
堀田仁助の功績を語る神英雄会長=益田市元町、市民学習センター

 【益田】昨年10月に亡くなった、島根書道会会長の佐々木龍雲さんを追悼しこのほど、益田市内で島根地理学会の神英雄会長(69)が伊能忠敬に先駆けて蝦夷(えぞ)地(北海道)を測量し地図を作った津和野藩士・堀田仁助の功績について講演した。

 神会長が昨年出版した書籍「堀田仁助 蝦夷地を測った津和野藩士」(山陰中央新報社刊)の題字を、佐々木さんが揮毫(きごう)した経緯がある。

 神会長は仁助が幕命により東蝦夷地と江戸を結ぶ安全な航路を開拓するため、船上で天体観測をして緯度を計測、陸路で海岸線を測量し、地図を制作したことを解説した。江戸-蝦夷地間の「勘ではなく、エビデンスに基づく日本における最初の航路図だ」と強調した。2029年には没後200年の節目を迎えるとし「その時に大きなムーブメントが起きるように研究を続けていきたい」と述べた。

 出版が決まり、佐々木さんに題字を依頼してから何パターンも草稿していたことを紹介し「龍雲さんは文字を残してくれました。おかげでたくさんの人の目に触れることができました」と語った。佐々木さんの妻で、仁助の8代目子孫の良子さん(76)は「あのように話していただき、龍雲も本望だと思う」と目を潤ませた。

 佐々木さんが副会長を務めた益田書道会(大畑蒼極会長)の総会に合わせて開催した。(藤本ちあき)