神英雄さんの著書「堀田仁助 蝦夷地を測った津和野藩士」
神英雄さんの著書「堀田仁助 蝦夷地を測った津和野藩士」

 きょう4月19日は「飼育の日」らしい。「4(し)1(い)9(く)」の語呂合わせ。飼育係をはじめ動物園や水族館で働く人の仕事に理解を深めてもらおうと、日本動物園水族館協会が14年前に制定した▼きょうは「地図の日」でもある。こちらは語呂合わせではなく、初めて実測による日本地図を完成させた伊能忠敬(1745~1818年)が1800(寛政12)年のこの日、測量のために江戸を出発したのが由来。「最初の一歩の日」ともされる▼蝦夷(えぞ)地(北海道)を目指した伊能はこの時、既に55歳。16年の歳月をかけて日本全国を測量し、実際に地図ができたのは、亡くなった3年後だった。志があれば、いくつになっても「最初の一歩」を踏み出せる、と勇気をくれる▼そんな伊能に影響を与えたとされるのが津和野藩士の堀田(ほった)仁助(にすけ)(1745~1829年)である。類いまれな天文学、算学の素質が評価され、幕府の天文方として出仕した堀田は、伊能が江戸を出発する前年、西洋式測量技術を基に北日本の地図を作成していた▼きちんとした評伝がなく、仕事の詳しい分析もされていなかったため、島根地理学会会長の神英雄さん(68)が研究。2021年4月から本紙に61回連載した企画を基に、『堀田仁助 蝦夷地を測った津和野藩士』(山陰中央新報社刊)を先月、発刊した。最後は手前みそになったが、飼育係と共に、郷土の偉人の功績に理解を深めたい。(健)