青森県三戸町の「八日町遺跡」から出土した縄文時代晩期の遮光器土偶=3日、京都市中京区の京都文化博物館
青森県三戸町の「八日町遺跡」から出土した縄文時代晩期の遮光器土偶=3日、京都市中京区の京都文化博物館

 俳優の吉永小百合さんは代表的な縄文美人の顔だという。縄文人の顔立ちの特徴は二重まぶたで彫りが深い。平均身長は成人男性が157センチ、女性が147センチ。寿命は30~40年。植物の採集、漁労、狩猟を軸に自然の恵みだけで生活した。

 原始的なイメージがある縄文時代だが、戦争や暴力とはほぼ無縁で病者を手厚く介護していたことも、人骨調査から分かっている。

 もう一つ、彼らの豊かな精神文化がうかがえるのが土偶だ。多くの人が思い浮かべるのは、宇宙人を思わせる遮光器土偶か。大きなお尻の国宝「縄文のビーナス」や赤ちゃんを抱いた土偶など、ほとんどが女性像とされ、豊穣(ほうじょう)や再生といった祈りに使われた可能性があるという。

 島根県飯南町の下山遺跡で出土した屈折像土偶は、しゃがんだ姿勢の座産をイメージしたもので、東北地方から持ち込まれたとか。全国の出土状況、作成年代の研究からも地域によってはやり廃りがありそうだ。見える景色や信じるもの、交易相手によって違いが出るのだろう。アニミズム(精霊信仰)を具現化したような土偶たちはユーモラスでかわいらしくもある。

 京都市内で開催中の特別展「世界遺産縄文」に並ぶ出土品に癒やされ、心身共に再生された感覚になったのは、現代人が失った精神性が呼び戻されるからか。そうであれば数千年後、私たちが残したものに未来の人たちは何を思うのかと考えた。(衣)