試験片の仕上げ作業で表面を確認する従業員=安来市恵乃島町、キグチテクニクス
試験片の仕上げ作業で表面を確認する従業員=安来市恵乃島町、キグチテクニクス

 金属材料の試験評価を手掛けるキグチテクニクス(安来市恵乃島町)が、試験片加工に全自動システムを導入する。新型コロナウイルス収束後の航空機分野の需要回復に備え、約3億円を投じて設備増強に踏み込む。11月下旬の稼働開始を予定している。

 航空機の機体やエンジンなどに使われる金属材料の試験片の生産はこれまで、粗加工と仕上げを別々の機械で行っていた。ロボットによる全自動加工システムの導入によって作業効率を高め、コストダウンにもつなげる。

 試験片の生産量は1カ月当たり5千本から最大1万本に増加する。本社隣接地にある加工工場の地盤改修など含め投資額は3億3700万円。

 2021年3月期の売上高は26億7千万円で、新型コロナの影響を受けて前期比約1割落ち込んだ。

 今期はV字回復で35億円を計画。航空機産業の需要回復の過程で新素材や技術の開発が活発化し、強度などを測定する試験片加工の引き合いは強まるとみて、28年3月期は45億円を目指す。

 従業員数は現在173人で、今後3年間で26人の新規雇用を計画する。島根県から立地計画の認定を受け、県は設備投資と雇用計画に対し6200万円を助成する。

 7日に県庁で調印式があり、木口重樹社長(78)は「航空機産業が廃ることはなく、新型コロナが収束すれば忙しくなることは目に見えている。いかなる仕事量にも対応できる能力を備えて期待に応えたい」と話した。   (久保田康之)