展示する「国之楯」を確認する池本亮平学芸員(左)ら=鳥取県日南町霞、町美術館
展示する「国之楯」を確認する池本亮平学芸員(左)ら=鳥取県日南町霞、町美術館

 鳥取県日南町霞、町美術館で、大正から昭和にかけて活躍した日野町出身の日本画家、小早川秋聲(しゅうせい)(1885~1974年)の企画展が開かれている。来館者は風景や戦争画など多彩な32点をじっくり鑑賞していた。21日まで。

 秋聲の代表作で、顔に日章旗がかけられた陸軍将校の遺体が暗闇に横たわる「国之楯(くにのたて)」(1944年、68年改作)など個人や神社などから寄託された日本画が並ぶ。

 秋聲は寺の長男として生まれ、幼少から絵を好んだ。画家を志し京都の谷口香?(こうきょう)、山元春挙に師事。秋聲は大の旅好きで国内にとどまらず、ヨーロッパやアジア各地を旅して回った。1931年の満州事変勃発直後には従軍画家として戦地に赴き、終戦まで最前線で戦争画の制作に取り組んだ。

 倉吉市から訪れた40代女性は「圧倒されるものがあった」と話し、浅田裕子館長は「激動の時代を画家としてどう描きどう生きたのか、小早川秋聲の人生を感じてほしい」と呼びかけた。

 入館料は一般200円、高校生100円、中学生以下は無料。月曜休館だが、月曜が祝日の場合は翌日が休館。

(藤本みのり)