絵本の原画を鑑賞する来場者=益田市有明町、島根県立石見美術館
絵本の原画を鑑賞する来場者=益田市有明町、島根県立石見美術館

 戦後の日本で雑誌のアートディレクターや絵本作家として活躍した堀内誠一(1932~87年)の作品を展示する企画展「堀内誠一 絵の世界」(島根県立石見美術館、山陰中央新報社など主催)が6日、益田市有明町の島根県立石見美術館で始まった。来場者が堀内の独創的な創作活動の一端に触れている。9月2日まで。

 東京生まれの堀内は伊勢丹百貨店宣伝課、デザイン事務所「アド・センター」を経て、70年に雑誌「anan」のアートディレクターに就き、ロゴや表紙のデザインなどを担った。一方で、50年代から絵本作家として活躍し、240万部を超えるベストセラー「ぐるんぱのようちえん」など約70冊を手がけた。

 企画展では幼少期に描いた絵や絵本の原画、挿絵、デザインした雑誌など約200点を展示した。74年から81年まで家族とパリ近郊に移住し欧州各地を旅して旅行記やガイド本を出版しており、パリの風景を描いたスケッチも並べた。

 5日は内覧会があり、来場者約70人が、長女で通訳業の堀内花子さん(63)の案内で、絵本の原画やイラスト入りのパリの地図などを鑑賞した。花子さんは「パソコンが普及してない時代に、手で自由な創作活動を行った父の世界を感じてほしい」と話した。

 午前9時半~午後6時(入館午後5時半まで)。観覧料は一般千円、大学生600円、小中高生300円、未就学児無料。8月13日を除く毎週火曜休館。

 (中山竜一)