モスクワでワクチン接種を行う医療スタッフ=7月5日(タス=共同)
モスクワでワクチン接種を行う医療スタッフ=7月5日(タス=共同)

 【モスクワ共同】ロシアで新型コロナウイルス感染による死者が急増している。1日当たりの死者は6月末から連日600人超を記録。感染力の強いインド由来の変異株「デルタ株」の流行や国民のワクチン接種率が上がらないことが背景にある。首都モスクワでは飲食店の利用規則を厳格化、政府は遅れているワクチン接種促進に本腰を入れ始めた。

 政府対策本部の発表によると、7月6日には1日当たりの死者が737人とコロナの流行が始まって以来最多となった。9日の新規感染確認者は2万5766人と連日2万人を超えている。

 モスクワ市当局によると多くがデルタ株に感染したとみられ、約1カ月前から感染者が急増。病床は逼迫(ひっぱく)している。

 モスクワ市はサービス業など一部業種に対し、従業員の6割以上のワクチン接種を義務付けた。レストランやカフェの入店に接種を証明するQRコードの提示を求める措置も始めた。

 ロシアは昨年8月、世界に先駆けてワクチン「スプートニクV」を承認。12月から大規模接種を開始したが、国産ワクチンへの国民の不信感は根強く、2度の接種を終えた人は約14%にとどまる。政府が目標としていた秋までの集団免疫獲得は絶望的だ。

 プーチン大統領は6月30日、接種は義務ではないとしながらも「ワクチンを打たなければコロナはなくならない」と述べ、国民に接種を促した。

 ロシアでは短い夏を楽しもうと休暇を海外や保養地で過ごそうとする人が多い。人の移動が抑えられず、夏の間に感染が拡大する懸念もある。