スターシップとハートといえば、1980年代後半の華々しい活躍が記憶に残る。実力派ロックバンドが85年に外部のソングライターの曲を取り入れて大胆に変身。ポップなヒット曲を連発した。
65年結成のジェファソン・エアプレインが改名してジェファソン・スターシップとなり、85年にスターシップの名になった。ハートはアンとナンシーのウィルソン姉妹らで76年にデビュー。二つのバンドともシングル、アルバムでそれまでに全米トップ10ヒットはあるものの1位はなく、特に80年代前半は低迷気味だった。
復活を懸け、自作曲中心のスタイルを転換し、メンバー以外の曲を多く収録したアルバムを85年にそれぞれ発表した。ハートはグループ名を冠したアルバムが全米1位に輝き、シングルも「ジーズ・ドリームス」が1位に。スターシップはアルバム「フープラ」からの第1シングル「シスコはロック・シティ」、続く「セーラ」がともに1位になった。ちなみに「ジーズ・ドリームス」と「シスコはロック・シティ」は同じ作者だ。
新生ハートは少しメタルっぽくなったが、メロディーはポップ。スターシップはダンスミュージックのようだった。「売れ線になったなあ」と両バンドの変わりように驚きつつも新曲に耳を奪われた。振り返れば、いかにも80年代らしい、軽くて親しみやすい曲の数々だった。(洋)