雨乞い神事の様子を活写した写真を紹介する吉崎佳慶さん=益田市中吉田町、キヌヤ中吉田店
雨乞い神事の様子を活写した写真を紹介する吉崎佳慶さん=益田市中吉田町、キヌヤ中吉田店

 写真歴65年、これが最後の個展ー。益田市久城町のアマチュア写真家、吉崎佳慶さん(83)が清流・高津川の源流である大蛇ケ池(島根県吉賀町田野原)で毎年6月に営まれる雨乞い神事を題材にした個展を同市中吉田町のキヌヤ中吉田店で開いている。32年前から追い続けたテーマで「4年ぶりに水質日本一に返り咲いた高津川の源流で営まれる勇壮な神事を見て楽しんでほしい」と話す。
(中山竜一)

 初めてカメラを手にしたのは高校3年生、18歳の時だった。シャッタースピードや露出、ピントもすべて手動の35ミリ一眼レフ。「友達の写真を白黒フィルムで撮って現像し、プレゼントして喜ばれた」と振り返る。

 以来、写真の魅力にとりつかれ、全日本写真連盟益田支部長などを歴任。個展は高津中学校(益田市高津3丁目)や柿木中学校(島根県吉賀町柿木)で社会科教員をしていた40代のときから主に益田市内で開く。

 高津川の流域住民の営み、川土手の桜並木、ホタル、紅葉、冬景色…。ファインダー越しに見た四季折々の魅力を紹介し、今回で50回目の個展だ。

 1992年に地区民が、地域活性化を狙いに53年ぶりに復活させた雨乞い神事は、かねて「社会性のある地域の宝」を被写体に選んでレンズを向ける吉崎さんが復活時から追い続けた「ベストの素材」。わらでできた全長10メートル、重さ100キロの竜を担いだ地区民が大蛇ケ池に入り竜を水にくぐらせ激しく上下させる。

 雨乞い神事は最後の個展のテーマにふさわしいと考えていた吉崎さん。今年高津川が4年ぶりに清流日本一に返り咲いたことで「高齢になったこともあり、今回で最後の個展にしよう、という思いが一気に爆発した」という。

 個展のタイトルは「竜大あばれ 雨乞い神事」。わらの竜に神職が酒を飲ませ、地元住民らが竜を担いで池に飛び込み、池のほとりにそびえるご神木に巻き付ける様子を収めた14枚を展示した。A3判12枚、全紙サイズ2枚で、お気に入りの全紙は、男たちの生き生きとした表情や躍動する竜の動きをとらえている。

 8月31日までで入場無料。吉崎さんは「雨乞い神事は住民の思いがこもった地域の宝。多くの人に見てほしい」と来場を呼びかける。