ライフワークであるヒマラヤの山々に通いながら島根半島を歩く写真家・石川直樹さんの訪問記の続編を3回に分けて掲載します。
◇ <第1部>【写真家・石川直樹 島根半島を往く】 沖泊 此岸と彼岸の境界線
2023年は春にネパール、夏にパキスタン、秋にチベットへ行き、それぞれの地で、断続的に山に登った。世界には標高8千メートル以上の山が14座あり、その全てに登りながら頂までを撮影するというプロジェクトを遂行中だ。島根半島を歩けるのは、海外遠征から帰国して次の遠征に向かうまでの限られた期間だ。
パキスタンにあるナンガパルバットとガッシャブルム1峰という山から帰った直後の晩夏、ぼくは初めて美保関を訪ねた。...