山陰の風景を撮り続けた塩谷定好という写真家がいた。1925年、島根半島最北端にある多古・沖泊の集落の家並みを撮影した『村の鳥瞰(ちょうかん)』は特に有名だが、写真に写っていた茅葺(かやぶき)屋根はもちろん残っていないにせよ、あれから100年がたとうとしている今も、家々の屋根がさまざまな方向を向いている街並みは、塩谷の写真を彷彿(ほうふつ)とさせるものがあった。屋根はほとんどが赤褐色の石州瓦でできており、このあたりの屋根景観には特に目を惹(ひ)かれる。
石川直樹 島根半島を往く
インタビュー動画
村を俯瞰(ふかん)した後、...