島根県西部を流れる江の川の流域では12日、昼すぎから雨脚が強まって水位が急激に上昇した。天候が回復し勢いは一時収まったものの、夜になって氾濫警戒情報が発表され、水害が相次ぐ川沿いの住民に緊張が走った。

 松江地方気象台によると、午後1時から2時ごろにかけて雨が強まり、1時間の最大降雨量は、川本で観測史上最多の59ミリを記録。桜江(江津市)でも57・5ミリとなり、滝のような激しい雨に見舞われた。

 島根、広島両県を流れる江の川は、上流部の広島側での雨の影響も受ける。12日は三次で24・5ミリ、庄原で40ミリと強い雨が降り、水位が上昇。水害の恐れがあるとして、島根県内の流域4市町に洪水警報が出た。

 江津市桜江町谷住郷に設けた水位観測所は午後6時、気象情報に注意を払う必要がある「水防団待機水位」となる6・3メートルに。都賀(美郷町)や大津(邑南町)でも同水位に至った。

 夜間にかけて水位がさらに上がる恐れがあるとの情報で、江津市は同8時、警戒レベル3に相当する高齢者等避難を発令した。

 2018、20年と2度浸水した江津市桜江町川越で自治会長を務める小松隆司さん(64)は、畑仕事を早めに切り上げ、インターネットで情報収集。高台から水位を眺め、集落内を巡回した。「突然降りだして大雨になった。予想できない降り方で、避難のタイミングが分かりにくい。改めて怖いと思った」と話した。 (福新大雄)