機関故障で24日に千葉県沖を漂流した東海汽船(東京都)の高速ジェット船と隠岐汽船(島根県隠岐の島町)が運航する隠岐-本土の超高速船「レインボージェット」(173トン、乗客定員256人)は、いずれも「ジェットフォイル(JF)」の愛称で呼ばれる同型の船だ。長らく生産がないため、部品が入手しづらいなど船を維持するための環境が悪化しており、整備士らから、懸念の声が上がっている。
JFは、船体を海面から浮上して時速約80キロ程度で航行するのが特徴。米国のボーイング社が開発し、国内で唯一、川崎重工業(東京都)が製造している。現在は、隠岐航路を含む5都県で約20隻が走る。
レインボージェットは1991年建造で、2014年に隠岐航路で就航。隠岐広域連合や隠岐汽船によると、運航中に漂流するような事態はない一方、年1、2回程度、機関故障や電気系統のトラブルで運航を止めることがあるという。不具合は、日常の定期的な点検に加え、全ての機器をみる12~2月の長期検査で確認する。
船を維持する上での課題は少なくない。維持保全を担う隠岐汽船テクノの多田房之助整備長は「必要な時に部品が手に入らないことがある」と明かす。